Cisco Packet Tracerを活用したネットワーク演習

Cisco Packet Tracerは,Cisco社が提供するネットワークシミュレータです。
無料で利用でき,ネットワーク構築を練習することができます。
このサイトでは,Packet Tracerの利用方法と,CCNA対策に役立つ演習シナリオを紹介します。

演習05DHCP・DNS

構成図

課題

RからPC1-2に,DHCPを利用してIPアドレスを配布し,デフォルトゲートウェイ・DNSサーバの情報を広告する設定を行います。 これにより,Web-SVにFQDN(example.com)を利用して通信を行えるようにしてください。
なお,問題ファイルでは次の設定項目は完了しています。

パラメータ

●IPアドレス

ホスト名 I/F名 IPアドレス サブネットマスク
R G0/0/0 192.168.10.254 255.255.255.0
G0/0/1 10.10.10.254 255.255.255.0

ホスト名 IPアドレス サブネットマスク デフォルトGW
PC1 DHCPで取得
PC2 DHCPで取得
DNS-SV 192.168.10.53 255.255.255.0 192.168.10.254
SV 10.0.0.1 255.255.255.0 10.0.0.254

●DHCP

ホスト名 プール名 配布対象のNWアドレス リース時間 デフォルトゲートウェイ DNSサーバのアドレス
R EXAMPLE 192.168.10.0/24 24時間 192.168.10.254 192.168.10.53

手順

⑴ RからPC1-2へ,DHCPで192.168.10.0/24のIPアドレスを配布するが,.53と.201-254は配布しないので,除外する設定を行う。

⑵ パラメータの通り,RにDHCPプールの設定を行う。

⑶ RからPC1-2に,DHCPでIPアドレスが割当てられたことを確認する。

⑷ PC1-2からexample.comにwebブラウザでアクセスし,webページを閲覧できることを確認する。

使用するコマンド

解説

DHCPは,TCP/IPネットワークにおいてクライアントに必要な情報を自動的に設定するための,UDPで動作するプロトコルです。 「IPアドレスの配布」というイメージが強いかもしれませんが,デフォルトゲートウェイ・DNSサーバのIPアドレスなども併せて広告する場合が多いです。

⑴ RからPC1-2へ,DHCPで192.168.10.0/24のIPアドレスを配布するが,.53と.201-254は配布しないので,除外する設定を行う。

「192.168.10.0/24のうち,.1-.200のIPアドレスを配布する」というのがこのシナリオの課題ですが,CiscoのルータをDHCPサーバにする場合は, 「192.168.10.0/24のネットワークを配布対象にする」「.53と.201-.254は配布対象から除外する」という2つの設定を行うことになります。 アドレスの除外は,例えばサーバやNW機器などが固定で付与されているIPアドレスが存在する場合に,IPアドレスの重複を防ぐために行われます。

しかし,配布対象を先に設定してしまうと,除外したいアドレスが先に配布されてしまう可能性があるため,除外アドレスを先に設定する場合があります。

IPアドレスを配布対象から除外するには,ip dhcp excluded-addressコマンドを使用します。

R(config)# ip dhcp excluded-address 192.168.10.53
R(config)# ip dhcp excluded-address 192.168.10.201 192.168.10.254

⑵ RにDHCPプールの設定を行う。

配布するIPアドレスとそのサブネットマスク,デフォルトゲートウェイ・DNSサーバのIPアドレスを,DHCPプールに設定します。 これにより,クライアントからのDHCP Discoverを受信した際に,設定情報を通知することができるようになります。

DHCPプールの作成は,ip dhcp poolコマンドを使用し,配布するIPアドレスなどの設定はDHCPコンフィギュレーションモードで行います。

R(config)#ip dhcp pool EXAMPLE
R(config-dhcp)# network 192.168.10.0 255.255.255.0
R(config-dhcp)# lease 1 0 0
R(config-dhcp)# default-router 192.168.10.254
R(config-dhcp)# dns-server 192.168.10.53

⑶ RからPC1-2に,DHCPでIPアドレスが割当てられたことを確認する。

CiscoルータからDHCPクライアントへのIPアドレス配布状況は,show ip dhcp bindingコマンドで確認することができます。

⑷ PC1-2からexample.comにwebブラウザでアクセスし,webページを閲覧できることを確認する。

DHCPによって,PC1-2がIPアドレスとデフォルトゲートウェイの情報を得たことでWeb-SVへの通信が可能となり,DNSサーバの情報を得たことでexample.comの名前解決が可能となります。 これらにより,ブラウザのアドレス欄にexample.comと入力するとWeb-SVの持つwebページが閲覧できるようになります。